介護職のハラスメント問題はなぜ起こるのでしょうか?ここではハラスメントが起きてしまう理由や種類についてわかりやすくまとめていきます。
介護施設には脳卒中などの基礎疾患を持ち、体が不自由なために介護を必要とする利用者も少なくありません。そんな利用者の中には認知症を発症している人も多いんですが、認知症によって脳の機能が低下しているため、感情を上手くコントロールできないんです。体が不自由だから介護を受けているのに認知症になるとそれが理解できなくて、「嫌がらせを受けている!」と勘違いしてしまうんですね。抵抗して暴言や暴力を振るうこともあるので、「ハラスメントを受けた」という職員も多いんです。
また、年々体の不自由さが増していくのでできないことが増えていきます。それに対して焦りや不安、恐怖を感じ、その気持ちを解消できずにイライラして職員に暴力的な態度を表してしまうこともあります。特に排せつや入浴の介助は不快な思いや痛みを感じやすいので、拒否反応を示すこともあります。不穏な空気が流れ、職員に対して暴力を振るうなどハラスメント問題に発展することが多いんです。
介護職へのハラスメントで多いのは身体的な暴力や精神的な暴力、そしてセクハラです。
身体的な暴力とは物を投げる、殴る、蹴る、つねるなどのことで、特別養護老人ホームなど入居系の施設で多く見られます。長期間に渡って入所している人も多いので、このようなハラスメントが発生しやすいんですね。
精神的な暴力とは利用者やそのご家族が威圧的な態度を取って立場の弱い介護職に怒鳴る、過剰な要求をする、などのことで、教師や校長などの教育職に就いていた人や役職に就いていた人に多く見られます。そのような人たちは見下すような言い方をすることが多いんですが、個人の尊厳や人格を傷つけるようなことも言われるので、心に傷を負ってしまう介護職も多いんです。また、お気に入りの人とそうでない人で対応の仕方を変えたり、困難な作業を要求したり、同じ行為を繰り返したりすることもあります。このような心理的な嫌がらせをされると介護職としての自信を失ってしまいますよね。主に、訪問介護でこのようなハラスメントが発生しているのですが、加害者である利用者やご家族は自覚がないまま行っているので悪質です。
セクハラは必要以上に体に触れたり、性的な話を繰り返したりする嫌がらせのことです。介護職は女性の割合が多く、排せつや入浴などの介助は距離が近くなってしまうので、男性の利用者からセクハラを受ける人も少なくありません。介助を拒否することはできないのでセクハラを止めることができず、悩んでいる人も多いんです。また、介助の一環として触らざるを得ないのにセクハラだと訴えられてしまい、精神的苦痛を受けてしまうケースもあります。